*** CTGモニター(胎児心拍陣痛図):新たなモニターの発展に向けて ***
分娩時に使用しているCTG(胎児心拍陣痛図)モニターについて、改善の必要がありそうです。
CTG(胎児心拍陣痛図)モニターは、分娩中のお母さんの子宮収縮と赤ちゃんの心音を見る機械ですが、現行のデバイスには問題点がいくつかあります。
センサーの問題
一つは、センサーがとてもアナログな古い形式のものであることです。
こちらの写真のように2つのセンサーをゴムバンドでつける形で装着します。
これは実際に付けてみるとわかると思いますが、かなり不自由です。
麻酔科医も硬膜外を入れるときは、このバンドをずらして手技をしければなりません。
これだけbluetoothなどの無線システムが発展してきている中で、昔の機械と同じ形態なのはもったいないですね。
(stanford children’s healthサイトより)
干渉の問題
もう一つは干渉の問題です。現在のモニターは赤ちゃんの心音と子宮収縮の関係をみているわけですが、赤ちゃんの心音はさまざまな干渉を受けます。
肥満のお母さんではお母さんの心音を拾ってしまったり、お母さんが体を動かしたときの影響を受けたりなどです。
このような干渉を自動で補正してくれる機能が好ましいでしょう。
実際にバイタルモニターで必ず用いられるSpO2(酸素飽和度モニター)では、ノイズを減衰させて生体信号を抽出する仕組みができています。
現代の工学技術では、センサーから赤ちゃんの心音だけでなく、心電図も抽出することが可能なようです。
より感度の高い状態で赤ちゃんの状態をみれるようになることが重要です。
さらに、分娩の進行では、児心音と子宮収縮以外にも様々なものをモニタリングします。
具体的には
1)内診の所見 2)お母さんのバイタル 3)お母さんの陣痛の場所と程度
などです。
これらの情報をすべて一つの端末で一元化して見れるようにし、産科医・助産師・麻酔科医で情報を共有することが、安全の向上につながると考えます。
今後以上の問題を解決したデバイスが出てくるでしょうが、その開発にはもう少し時間がかかりそうです。
CTG(胎児心拍陣痛図)モニターの課題についてのお話でした。