*** 無痛分娩に使用されるお薬 ***
ここでは、無痛分娩で実際にどんな薬が使われるか、みていきましょう。
無痛分娩では、「局所麻酔薬」・「麻薬」・「昇圧剤」・「降圧剤」・「子宮収縮剤」
などが使用されます。
それぞれがどんなお薬なのか、ご紹介します。
局所麻酔薬
・キシロカイン (一般名 リドカイン)
ポピュラーな局所麻酔薬のお薬です。一般的な外科の小手術などでもよく使われています。
硬膜外麻酔時には、背中を最初に麻酔する時、テストの薬を投与をする時、麻酔の範囲を広げたい時に使われます。
・アナペイン(一般名 ロピバカイン)
キシロカインよりも長時間作用する局所麻酔薬です。
機械を使って持続的に入れる際にはこのお薬を使うことが多いです。
・マーカイン (一般名 ブピバカイン)
長時間作用型の局所麻酔薬です。
脊髄くも膜下麻酔併用硬膜外麻酔や緊急帝王切開時の脊髄くも膜下麻酔に使用します。
麻薬
・フェンタニル(一般名 フェンタニル)
ポピュラーな合成オピオイド(麻薬)です。基本的に、アナペインと一緒に混ぜて使われます。同じ濃度のアナペインだけのものと比べて、一緒に使用することで鎮痛効果を高めます。単独での使用も効果を発揮します。
・アルチバ(一般名 レミフェンタニル)
超短時間作用型のオピオイドです。この麻薬が2006年に日本で導入されて以来、オペ室での鎮痛コントロールの方法は一変しました。今では一般手術の麻酔で幅広く使用されています。特に全身麻酔においては、その鎮痛レベルの調節性の良さが、重宝されている理由です。
無痛分娩におけるレミフェンタニルの使用では、呼吸抑制が大きな課題です。
昇圧剤
・エフェドリン(一般名 エフェドリン)
主に心臓に作用して、心拍出量を上昇させることで、昇圧効果を発揮します。
高頻度に使用することで、天井効果があります。無痛分娩でお母さんの血圧が下がり過ぎた際に使用します。
心臓というエンジンをパワーアップさせるイメージです。
・ネオシネジン(一般名 フェニレフニン)
末梢の血管を締めることで、昇圧効果を示します。
エフェドリンよりも作用の発現が早く、切れることのも早いです。
ピュンの血圧が上がる、短気なカミナリおやじのイメージです。
機嫌もすぐに戻ります。
降圧剤
・ミオコール(一般名 ニトログリセリン)
主に体の静脈を広げることで降圧作用を示します。
この薬には子宮の収縮を緩める作用があります。子宮が収縮しすぎて、赤ちゃんが苦しそうな時は、この薬を使って一時的に収縮を弱めます。
帝王切開の時も、週数が早くて羊水が少ないような症例では、赤ちゃんを子宮から取り出す際に使うことがあります。
子宮収縮剤
・アトニン(一般名 オキシトシン)
子宮を収縮するお薬です。計画分娩ではこのお薬を使います。
自然陣発した際も、子宮の収縮力が弱いときには使うことがあります。
帝王切開で赤ちゃんが生まれた後、収縮を促進して出血を止めやすくすることにも用いられます。
以上が一般に無痛分娩で使用される代表的なお薬です。
この章では臨床で実際に使用される無痛分娩のお薬についてまとめました。
一般の方が知る必要のレベル以上のことまで書きましたが、イメージ作りの参考にしてみてください。