*** どんな時になる?帝王切開の適応 ***
帝王切開のグレード分類
帝王切開は、その緊急度合によってグレード分けがされています。
グレードは大きく3つに分けられます。
グレードA
超緊急の帝王切開です。
お母さん・赤ちゃんが非常に緊迫した状態であり、一刻も早く分娩を終わらせなければならない時に、適応となります。
グレードAが宣言された時点で、皆大急ぎで準備に取り掛かります。
手術が決まってから手術開始まで、一般に30分以内が目標とされていますが、この時間にはっきりとしたエビデンスはありません。
できるだけ早急にということで、このような時間設定がされています。
グレードB
緊急の帝王切開です。
グレードAほど緊急性は高くありませんが、なるべく早めに入室させる必要があります。
グレードC
緊急性は高くないけれども、帝王切開を行うことは決定している場合はグレードCです。
人手や手術室の状況から、入室の時間を判断します。
帝王切開の適応
帝王切開になることは決して珍しいことではありません。
現在の日本でも約20%のお母さんが、帝王切開を受けています。
帝王切開になる理由にはさまざまなものがあります。
大きく予定帝王切開と緊急帝王切開に分けられます。
それぞれに分けてみていきましょう。
予定帝王切開
・骨盤位
赤ちゃんがいわゆる逆子の状態である時です。
その他の胎位異常(赤ちゃんの姿勢が異常な場合)がある時も適応となります。
・双胎
双子の赤ちゃんの場合も帝王切開が選択されます。
・帝王切開の既往
前回の妊娠が帝王切開であった場合、2回目は基本的に帝王切開となります。
・前置胎盤・癒着胎盤
胎盤の位置に異常があったり、胎盤のつき方が異常であったりする場合は出 血のリスクが高く、帝王切開が選択されます。
・児頭骨盤不均衡
赤ちゃんの頭が、サイズのバランスのために、お母さんの骨盤・産道を通っていけない場合です。
・内科合併症・感染症
赤ちゃんに心臓の先天的病気があったり、お母さんに感染症(HIVやヘルペスなど)があって産道を通ることで赤ちゃんへの感染のリスクが高まる可能性がある場合に、適応となります。
緊急帝王切開
・分娩遷延・分娩停止
分娩がその過程で進行しなくなり、経腟分娩が困難になった場合です。
グレードBからグレードCの適応となります。
・胎児心拍異常
赤ちゃんの心拍に異常がある場合、帝王切開となります。
心音の低下が定期的にみられる場合はグレードB、心音が回復してこない場合はグレードAになることが多いです。
・常位胎盤早期剥離
赤ちゃんがおなかの中にいる状態で胎盤がはがれてしまうことです。
胎盤は赤ちゃんが呼吸する経路であり、また血流がとても豊富な臓器なので、胎盤がはがれることはお母さんと赤ちゃんの両方にとって危険なことです。
一般に早剥といわれます。
非常に緊急性が高くグレードAの適応となります。
・重症妊娠高血圧症
お母さんが妊娠中に高血圧をはじめとする全身疾患になることがあります。
症状が重度の場合、妊娠のターミネーション(分娩を終わらせること)が必要となります。
・前期破水
分娩が始まる前に破水することです。
羊水が少なくなることで感染のリスクが高まったり臍帯が圧迫されやすくなります。