*** 硬膜外麻酔ができない方 ***
側弯症の方
背骨が体の横方向に弯曲している方です。軽度の側弯であれば、問題なく麻酔できることが多いですが、側弯がない方に比べると麻酔の広がりが不十分になったり、左右の差が出やすかったりします。
側弯を固定する手術を受けていると、特にその影響は出やすいです。
腰椎椎間板ヘルニア
ヘルニアがある場所と、手術をした場所が、カテーテルを入れる場所と離れていれば、硬膜外をできることもありますが、患者さんとよく相談して決めるようにしています。
ヘルニアで既に足がしびれるなどの神経障害がある場合、硬膜外による合併症と見分けがつきにくくなるのが問題となります。また分娩時にヘルニアが悪化しても、無痛のためマスクされてしまう可能性があります。
ただ、ヘルニアは基本的に前方に突出しているもので、カテーテルは後ろから入れるので直接影響が出る可能性は低いです。また、むしろヘルニアの治療自体に硬膜外ブロックがされることも知っていてください。
手術を受けたことがある方は、側弯症と同様に、麻酔の効果が不十分になることがあります。
凝固の異常
体の中の血を固めるための成分(凝固因子や血小板)が足りなかったり、それらに機能に問題があったりすると、硬膜外麻酔を受けられないことがあります。血腫ができた場合、正常の人よりも広がりやすいと考えられるからです。
背中の感染
背中のカテーテルを入れるところの皮膚に感染症があると、硬膜外が受けられない場合があります。
感染しているところに存在するバイ菌を、硬膜外腔に押し込んでしまう可能性があるからです。
刺青・タトゥーがある場合も、それらに含まれる金属が脊髄くも膜腔・硬膜外腔に入りこんでしまう危険があるので、小さな皮膚切開をしてから穿刺するといった工夫が必要になります。