注目の記事 PICK UP!

『 無痛分娩の事故・ニュースのこと:麻酔科医の観点からの検証3 』  麻酔科医情報サイト

 

***無痛分娩の事故・ニュースのこと:麻酔科医の観点からの検証3*** 

 

先日電車内で赤ちゃんが生まれるというニュースがありました。

 

1/19に常盤線の車内で破水したお母さんが、同じ車両にいた元看護師の女性のサポートを受けながら、その場で出産したというニュースです。

 

無事に生まれてよかったという感動の声があった反面、車内での出産に対してバッシングもあり、その批難を芸能人らが批判したことでも話題になりました。

このお母さんは経産婦で、陣発から急速に分娩が進行したようです。

 

経産婦のお産は初産婦に比べて圧倒的に早く進行します。分娩のタイミングを予想するのは難しく、このニュースのように思いがけない所で分娩に至るケースもあるのです。

 

 

そのため経産婦で無痛分娩を希望する場合は、計画分娩が望ましいという意見があります。

 

一般的に初産のお母さんは陣発してから子宮口が全開大するまで15-16時間、陣痛が弱い場合はそれより更にかかることがあります。それに対して、経産婦は6-8時間と早く、陣発が来て病院に駆け込むと、そのまますぐにお産になることもあります。

 

経産婦の陣発で、分娩が急速に進行しているから早めに硬膜外を入れて欲しいと依頼があることがあります。

 

このようなときはなるべく急いで分娩室に向かい、麻酔に取り掛かる必要があります。お腹の赤ちゃんが元気であればCSEAを選択することが多いです。硬膜外麻酔単独の使用に比べて、すぐに痛みがとれるからです。***無痛分娩の種類***参照) 

 

それでも進行があまりにも早い場合は、麻酔自体が間に合わないこともあります。

 

そういった状況を考慮すると、経産婦の場合は計画分娩を考慮に入れてもいいかもしれません。

 

計画分娩の日程をあまりにも早く決めてしまうと、思ったよりもお産が進まず困ることがありますが、定期の外来で熟化(子宮がお産のために柔らかく開いて、赤ちゃんが出てきやすい状態になること)の程度をみて、入院日を決められれば上手く行く傾向があります。

 

計画分娩での管理をしている病院では、経産婦のお母さんの場合、そのような配慮がされることがあります。

 

電車内分娩のニュースを受けて、経産婦のお母さんの無痛分娩の管理についてお話ししました。

 

 

 

PAGE TOP