*** 無痛分娩から緊急帝王切開:そんな時どうする? ***
無痛分娩進行中に緊急で帝王切開が必要になった。
そんな時は、どのような流れになるのでしょうか?
実は硬膜外麻酔がしっかり効いていると、帝王切開にもスムーズにシフトできます。
一般にお産とは本当に様々なことが起きるものです。
・赤ちゃんの頭が大きくて、お母さんの骨盤をくぐれない
・赤ちゃんの心音が下がっていて、早く外に出さないといけない
・子宮の収縮が弱くて分娩が止まってしまった
そんな時、産科医の先生の判断で帝王切開が必要となることがあります。
帝王切開には、その緊急性に応じて、どれだけ手術を急ぐかのグレードがあります。
最も急いで赤ちゃんを出さなければならないグレード1緊急帝王切開は、手術開始から執刀まで、原則30分以内を目標とするルールがあります。
この緊急事態でも、硬膜外麻酔が有効であれば、より強力な局所麻酔薬を広げることで、そのまま手術に臨むことができるのです。
もし硬膜外麻酔が入っていない場合は、全身麻酔が必要になります。
全身麻酔では、お母さんは点滴から眠る薬と痛み止めが入って完全に眠った状態になり、挿管して(お口からチューブを入れて)、人口呼吸器につなぐ処置がされます。
妊婦は、ふつうの人と比べて、挿管が難しかったり誤嚥したりリスクが高いため、なるべく避けたいものです。また、硬膜外麻酔と比べると、赤ちゃんに与える薬の影響は大きくなります。これについては***麻酔薬が赤ちゃんに与える影響***で詳しく説明します。
この全身麻酔のリスクを冒すことなく、すぐに帝王切開に臨めるのです。
そういった意味で、もともと帝王切開に移行するリスクが高いお母さんの無痛分娩では、硬膜外麻酔をしっかり効かせておくことが特に大事なのです。
つまり、硬膜外麻酔による無痛分娩では、そのまま経膣分娩が進んだ場合も、帝王切開が必要になった場合も、素早い対応が可能だということです。
無痛分娩中の帝王切開についてのお話でした。