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『 硬膜外麻酔は誰のもの? 』 麻酔科医情報サイト

 

*** 硬膜外麻酔は誰のもの?  ***

 

硬膜外麻酔(という手技)は、誰のものなのでしょうか?

 

硬膜外麻酔は普通手術室では麻酔科医が行っていますが、日本における無痛分娩では、産科医の先生も硬膜外麻酔を入れることがあります。

 

これに対して、アメリカでは、硬膜外麻酔を産科医が入れることはまずなく、麻酔科医のものとなっています。

 

硬膜外麻酔を入れるのは麻酔科に限るべきか

それとも産科医も含めて、硬膜外麻酔を入れていいものなのか

 

このことについては、現在も議論されているところです。

 

著者としては、硬膜外麻酔は、トレーニングされた麻酔科医が行うべきものと考えています。その理由は一言で言うならば患者の安全です。

 

確かに、硬膜外麻酔の手技自体は、それほど難しいものではなく(もちろん患者さんの状態によっては熟練した麻酔科医でも難渋することはありますが)、器用な先生でしたら、容易に入れられるようになるかと思います。

 

しかし、硬膜外麻酔において、最初にカテーテルを入れるという作業は、全体の一部にすぎません。

 

硬膜外を入れた後の対応については、手術麻酔を基盤として、気道管理や薬剤投与の調節に長けた麻酔科医に、軍配が上がります。

 

硬膜外麻酔がうまく効かなかった時や、なにか合併症が発生したときに、変化に気付いて迅速に動けなければ、安全に管理できるとはいえません。

 

硬膜外麻酔で重要なのは、うまくいっているときではなく、むしろうまくいかないときに、どう対応できるかなのです。

 

そしてそれがもしうまくできなかった場合、事故につながることにも成りかねません。

硬膜外麻酔は、手術麻酔を含めしっかりと麻酔のトレーニングを受け、かつ産科の知識にも精通した麻酔科医によって管理されるべきというお話でした。

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